★ 地震が怖いは人生が怖い?

 以下は、2008年1月16日、京都・法然院にて行なわれた「兵庫県南部地震物故衆生追悼の集い〜追悼演奏」のプログラムに掲載されたワタシの一文です。“Season’s Greeting”#195〜197 との関連記事として掲載いたします。


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 追悼演奏に寄せて

 ご存知かとは思いますが、地震は大地の活動によって蓄えられたエネルギーの放出が引き起こす現象です。たとえば、太平洋プレートとユーラシアプレートが押し合いつづけた結果、その境界面に力が、つまりエネルギーが蓄えられ、あるとき一気にエネルギーが放出され、つまり両プレートがはじけて跳ね上がり、海溝型地震が引き起こされます。内陸部の活断層が引き起こす直下型地震も同じメカニズムです。

 さて、大地の運動は地底のエネルギー、すなわち地球のエネルギーが引き起こしているそうです。
 で、エネルギーって何なのか? 改めて問うことはあまりありません。物理学の立場からひとことで説明すれば「物体を動かす力」ということになるようです。でも、その力がどこにあるのか、見た人はいません。

 何が言いたいかといいますと、「生命」だってエネルギーではないかと。
 なにを今さら、とおっしゃるでしょうが、生命と地球のエネルギーが同じものなのであれば、わたしたちの生命活動と地震は同じメカニズムだと言えます。

 岡本太郎画伯はこう言いました。
『財産が欲しいとか、地位が欲しいとか、あるいは名誉なんていうものは、ぼくは少しも欲しくはない。欲しいのはマグマのように噴出するエネルギーだ』

『芸術は(生命の)爆発だ』とも言い放った画伯は、生命エネルギーとマグマのエネルギーが同じものだと直感しておられたのだと思います。ワタシは画伯の直感を支持します。
 でも、地震は怖いです。岡本太郎画伯は、恒久設置先が注目される巨大壁画『明日の神話』に見られるように、生命を、エネルギーを畏怖し、そして讃えました。その心境に到れれば、地震に対する恐怖も和らぐように思えるのですが。

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